環境創造(情報)に関する調査研究

 

 東日本大震災及び原発事故からの復興は着実に進行しているところですが、様々な県民の不安や風評等の課題が残っています。不安の軽減や風評の払しょくのためには、正確でわかりやすい情報発信によって、効果的に情報を伝えることが必要です。
 また、効果的な情報発信は、様々な啓発活動や環境保全等への意識向上を促進していく上でも重要です。
 これらの背景を踏まえ、効果的な情報発信のあり方に関する研究を行っています。

 

調査研究の概要

 

県民の不安の状況把握に関する検討

 県民の不安軽減を図るためには、様々なリスクに対してどの程度の安心感を持っているか把握することが必要と考えられます。
 そのため、県内の状況把握を目的として、福島県政世論調査結果を解析することによって、県内における様々なリスクに対する安心感がどのように推移しているか検討を行いました。
 その結果、食品安全や生活環境のリスクに対する安心感は、震災直後に低下し、その後は回復傾向にあることが分かりました。また、震災後に世論調査の項目に加わった、健康不安のリスクに対する安心感は回復傾向にあるものの、食品安全や生活環境の項目と比べて低いことが示唆されました。 

 

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震災後の県内における様々なリスクに対する安心感の推移

 

県民の省エネ行動に関する検討

 福島県2050年カーボンニュートラルは宣言されるなど、地球温暖化対策等に関する取組をさらに活発にしていくことがより重要となっています。
 これらの取組を効果的に進めていくためには、温暖化対策に関する行動を促進する要因を明らかにすることが重要と考えられます。そのため、福島県政世論調査結果を用いて県民の省エネに関する行動と情報源や個人属性との関連を解析しました。
 その結果、県民の省エネに関する行動と利用している情報源との関連が見られ、新聞や行政広報等を利用している人が省エネに関する行動を比較的行っていることが分かりました。また、年齢にも関連がみられ、高齢層が省エネに関する行動を比較的行っていることが分かりました。これらのことから、省エネに関する行動を促進するためのアプローチとして、情報源や年齢に着目したものが有効であることが示唆されました。 

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情報発信に関する事例の分析

 有効な情報発信の手法について検討するため、震災後に行われた放射線に関する情報発信の事例を対象として分析を行いました。

 対象とした事例を大きく分けると、小規模な対象に向けた「ローカル・パーソナル向け」のコミュニケーションと、大規模な対象に向けた「マス向け」のコミュニケーションに分かれました。
 「ローカル・パーソナル向け」のコミュニケーションについては、双方向性の信頼構築につながるコミュニケーションが求められ、「数」や「頻度」を増やすことが大切であることが示唆されました。
 「マス向け」のコミュニケーションについては、情報量が課題となることが問題として示唆されるとともに、平時から関係機関のネットワークづくりが大切であることが示唆されました。

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