原子力発電所事故から10年以上が経過し、自然減衰、除染活動等の結果、生活圏における人工放射性核種の濃度は大きく減少しています。しかし、帰還困難区域のように未だ空間線量率の高い地域や、森林等のように技術的な課題等で十分にモニタリングがなされていない地域があります。また、原子力発電所事故による影響の把握、汚染水の処理、廃炉に関わる作業等が周辺環境に与える影響の把握及び放射性物質の環境動態の詳細なメカニズムの解明が課題となっています。これらの解決に必要な分析・測定手法の開発、簡易・迅速化等に取り組むとともに、分析・測定結果のわかりやすい情報発信に寄与することが求められています。
魚や松葉等の有機物に直接結合しているトリチウム(有機結合型トリチウム)について、他機関との相互比較分析による分析精度向上に取り組みました。 |
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ヒラメにトリチウムを添加した後、燃焼法により有機結合型トリチウムを測定した結果、概ね84 %~90 %程度のトリチウムを回収した結果となることから、本分析結果が妥当なものであることを確認しました。 |
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水を電気分解することによりトリチウムを濃縮する装置を導入し、海水に含まれる低濃度トリチウムの分析を行いました。 |
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約3週間かけて約1,000 mLの試料を約15 mLまで濃縮することにより、検出限界値を従来法(濃縮なし・100 mLバイアル)より一桁程度低い0.031 Bq/Lにすることができました。 分析の妥当性を確認するため、IAEAが実施する相互比較分析プログラムに参加し、良好な評価が得られました。 国が定める放射能分析法マニュアルに、当センターの装置が掲載されました。 |
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リュックサックを背負って歩くだけで誰でも簡単に放射線マップが作れる「歩行サーベイ」 |
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・公園、住居周辺等の面的な空間線量率測定 ・通学路、河川敷等に沿った空間線量率測定 ・仮置場の原状回復時の跡地汚染有無の確認などに活用できます。 |
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膨大なモニタリング結果について、県民にわかりやすく、関係者が利用しやすい環境を提供するため、視覚的に把握しやすい線量分布マップを作成しました。 |
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福島県全域を対象として、事故直後から2021年3月までの統合化マップ及び経時変化マップを作成しました。妥当性評価を行った結果、経時変化解析結果と実際の測定結果は良い相関が見られることが示されました。 |
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原子力発電所周辺モニタリングによって得られた、大気中のちりやほこりに含まれるセシウム-137濃度のデータを用いて、経時変化傾向等を解析しました。 |
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解析の結果、多くの地点でセシウム-137の物理学的半減期よりも短い半減期で濃度が減少していることが明らかになりました。 |
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